第6回 「ハーレム」
今日もぼやあ樹では、女性の甲高い元気な声で賑わっています。
今流行の『女子会』と言われているものが、ここぼやあ樹でも開催されています。
女性のご利用者・スタッフが大半を占めているため、男性スタッフの私は恋愛やファッションといった女性の話題に、正直ついていけない時もあります。(笑)
Aさん(女性)と初めてお会いしたのは今から約5ヶ月前。
五十代後半のAさんは、以前の施設でも男性の介助を拒否するほど、女性らしく恥かしがり屋な性格です。
また、Aさんは失語症を患っているため、中々ご自分からスタッフへ話しかけることもありませんでした。
出会った当時は緊張していてお互いにお互いを探りあい、信頼関係を築くまで時間がかかりました。
そんなある時、Aさんと女性スタッフがこんな話題で盛り上っていました。
二人の目には、私ともう一人の男性スタッフが一名写っていたときのことです。
スタッフ「Aさん、あそこにいる男性スタッフかっこいいと思います?(笑)」
Aさん 『あの人はタイプじゃないわ』
スタッフ「それじゃあっち(私)にいるスタッフは?」
Aさん 『ああ!あの人は大好きよ』
この会話を少し遅れて聞いた私は、素直に嬉しくなり「ありがとうございます。」と照れながら応えました。
きっとこの時の私の表情といったらデレデレしていたに違いありません。(笑)
また、Aさんは時々お泊りサービスをご利用になることがあります。
夕方以降はご利用者・スタッフの人数も少なくなり、日中に比べ時間の流れがゆっくりに感じます。
夜勤の時間帯には二人でソファに並んでテレビを見ることが日課です。
日中に比べて時間にとらわれない夜は、言葉が出づらいAさんとゆっくり会話をすることができる貴重な時間でもあります。
Aさんも日中に比べて一生懸命"話そう"という意欲が高く、Aさんの方から積極的に話しかけて下さいます。
すると、「あなたは楽しくていい人ね」と私に一言話かけて下さいました。
こんな貴重な一言を言って頂けた時は、とてもとても嬉しい気持ちになります。
現在は当時と変わらず、お風呂介助は男性スタッフを拒否されますが、こんな私でもAさんのお役に立てることはとても光栄です。
こんな素敵なお仕事をさせて頂けていること。
こんなまるでハーレムの中でお仕事をさせて頂けること。(笑)
とても幸せを感じながら、現在もそしてこれからも頑張っていこうと思います!