2025年問題
2025年問題を知っていますか?
2025年問題をご存じですか?我が国で戦後の第一次ベビーブームの間に出生した「団塊の世代」がいよいよ75歳の後期高齢者となり、過去に例を見ない高齢化社会が始まります。その現象は日本の福祉、行政の対応や財政を逼迫、ひいては医療、介護などのサービスに大きな影響を与えると言われています。その懸念の現実化がこの2025年問題なのです。
データで読む2025年問題
2025年問題を具体的に数字データで分析してみると、3人にひとりが65歳以上になる時代がやってきます。その結果、医療保険や年金の拠出の原資を支える若い世代とそのお金を受け取る高齢者との収支バランスに多大な影響が出てくる可能性があること、そして後期高齢者を医療の現場がしっかりと受け皿として対応できるかなどさまざまな点が問題視されはじめてきています。
都会では介護難民も生まれる
また、最近同時に注目されているのが「介護難民」問題です。介護難民とは要介護状態であるのにもかかわらず満足な介護を受けられない状態にある高齢者のことです。高度経済成長期、東京など大都市部に就職や入学で移住してきた高齢者人口は2025年に東京都を中心とする、埼玉県、神奈川県、千葉県の合計で約900万人となり、その人たちが90歳になる2040年には存命している半数が要介護状態になると推測されます。厚労省の発表によると、介護する側の人材は2025 年度において 37.7 万人は不足すると言われ 早急な対策が迫られています。このような点から、今後は介護施設や介護人材が不足し、首都圏でのひとり暮らしや老々介護の「介護難民」があふれるのではないかという懸念が現実化しはじめているのです。
介護業界はどう対応するべきか
公益財団法人の介護労働安定センターが発表の「平成29年度介護労働実態調査」によると、人材不足を感じている全国の介護事業者の割合(「大いに不足」、「不足」、「やや不足」の合算)は66.6%と上昇傾向にあり歯止めが利かない傾向にあります。
また人材不足の根本的原因は「賃金の低さ」、「仕事内容の厳しさ」、「社会的評価の低さ」、「人間関係のストレス」など深刻です。(図表解説介護労働の現状についてP53、P56参照)
政府も介護職の大幅な報酬アップに取り組んでいたり、有資格者の再就職推進、59時間の研修受講で取得できる「生活援助従事者研修」を新設したり、さまざまな施策を打ち出してはいますが2025年問題は待ったなしです。介護業界の経営者たちはそれを看過することなく、早急に若い人たちが働きたいという、きつくない楽しい仕事環境づくりをハード、ソフトの両面から、取り組んでいくべきでしょう。
(参考)
超高齢化社会 介護業界が抱える問題|みんなの介護
2025年に向けた介護人材にかかる需要推計(確定値)|厚生労働省
平成29年度介護労働実態調査図表解説介護労働の現状について|介護労働安定センター